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職務質問で後腐れなく上手に切り抜ける方法

何年も前の事だが自転車泥棒として職務質問を受け署に連行されたことがある。もう5年以上の前の事だ。当たり前のことだが、自転車を盗んで捕まると同様の取り調べを受けることになるはず。せっかくですのでその日の事を紹介しておきたい。もし同様に職務質問を受けた場合うまく切り抜ける方法はあるはずだ。

職務質問を受けたのは名古屋の名鉄レジャックの前の交差点だ。多くの人でにぎわうあの交差点には、怪しい人物がいないかと常に警察の目が光る。

そんな恰好の餌食となった私は即座に小太りの警官に職務質問を受けた。相手はなんと私服警官。
最初、ミスタードーナツのチラシ配りのバイトかと思ってスルーしていたが、どうやらそれがまずかったらしく、職務質問をしようとして無視したことで相手を立腹させたようだ。

質問内容の矛先は私ではなく自転車。ボロボロの自転車に乗っていることが怪しく感じられ彼の頭の中で勝手に『盗み』だと決めつけていたようだ。

私も腹が立ち『盗んでない』と言い張るも信じてもらえず、更に運が悪かったのは盗難防止用のラベルと名前シールがはがれていた事だ。以前盗まれた際に名前ははがされ、盗難防止もはがされており、盗んでないことを立証する証拠が一切ないことに気付いた。つまり完全にアウトだった。

そのまま署に連行され、取り調べ室に入った。もちろん人生初の取り調べ室だった。部屋は四方八方が壁で奥に座らされ出口側には小太りの警官が座っており、逃げ場はないわけだ。

取り調べが始まった。何処で盗んだのか、なぜ盗んだのか、どこに住んでいるのか、仕事は何をしているのか…色々聞かれたが、盗んでいないと言い張ると話は平行線。

小太りの警官もあきれた様子だった。すると少し年配の巡査部長っぽい警官が入ってきて何やらコソコソ話し始め、こう提案した。

「証言者はいるのか」

思わぬ助け舟だ、なぜかってこの自転車は実は母親に買ってもらった大切な自転車だった。即座に母親に電話して事情を話し小太りの警官に電話を交代してもらい、一件落着かと思ったその時

小太りの警官 『お母さん覚えてないそうだ。』

容疑は固まってしまった。母親の記憶力ほどたよりにならないものはない。覚えていないというより曖昧だったようで十分な証拠にならなかった。

取り調べは長引いた。残念だがかつ丼や牛丼は出てこなかった。
しかし長い取り調べの中で盗んでいない証拠はなかったが、盗んだ証拠も無く、素直に母親に電話をしたという経緯もあり『白なんじゃねーの』ぐらいの曖昧な理由で釈放されることになった。

その間、書類記述と指紋を採取される作業を10回ぐらい繰り返し、中学生以来の漢字の書取りをしているようで、手が疲れた。心も折れた。

結局曖昧なまま、その場を切り抜けたが私のように署に連行されることは無くても、職務質問は誰にでもありえることだ。その場合どうしたらよいか。

職務質問で手っ取り早く後腐れなく切り抜けるには

『素直にはきはきと答え、怪しい人物であることを払拭させること』 だ。

逆に、『任意ですか?』『強制ですか?』等と変にこなれた感じで逃げようとすると、逆効果だ。何か隠しているな?と勘ぐられてしまい、最悪の場合別の手法で事情聴取される可能性がある。だから素直に従うのが一番良い。人生で5回以上職務質問を受けているので間違いない答えだ。

職務質問に強制性はないようだが、逃げる理由を作ることで相手に不信感を与える。これは法的というよりもむしろ人間的に相手を威嚇しているように受けられよろしくない。

なので、もし職務質問をうけたら素直に受け答えよう。

(ライター:ユカワ)