竹本IT担当相 デジタル化を推進しつつも「はんこ文化」両立との発言にネット民困惑

自身の広報用YouTubeアカウントで、違法にアップロードされたアニメ動画などの不適切な動画を高評価していたことや、公式サイトがドメインロックされて表示できない状態が続くなど、IT担当相としてあるまじき態様が日々報道されている竹本直一氏。その渦中にある竹本氏が9月12日の記者会見で発言した内容が、ネット世論で大きな波紋を呼んでいます。

デジタルデータとしての印鑑に意味はあるのか? 疑問の声も

9月11日に発足した第4次安倍再改造内閣にて、IT政策担当大臣に任命された竹本直一氏。日本の印章制度・文化を守る議員連盟(はんこ議連)の会長でもある竹本氏は、12日に行われた記者会見にて、行事手続きのデジタル化をする上で、「はんこ文化」を共存させていくという旨を発言。この発言にはSNS上で大きな批判が殺到しました。

外部の事業者と取引をしたり、銀行や行政の手続きをする上で必要となる印鑑。しかし最近では取引の電子化により“印鑑を押す”という行為が見直されてきていました。銀行口座も個人向けであれば印鑑なしで開設可能となったほか、企業の契約実務においても「クラウドサイン」のような電子契約サービスの台頭により、押印の必要なく契約が成り立つ手段が確立されてきています。電子契約においては、印影の代わりにタイムスタンプを活用することで、その契約の有効性を担保する仕組みがつくられています。

また竹本氏は、はんことデジタル文書の共存を目指すと発言していますが、はんこが契約の証明としての意味を持つのは、その印影が彫刻による一点物であるからです。デジタルデータとして複製可能となったはんこは、契約実務において証明機能を果たせるかどうかには大きな疑問が残ります。

文化や環境の変化により、仕組みの変化に晒されていく業界はいくつもあります。はんこ業界もその一つでしょう。確かに文書のデジタル化において、その真偽を担保する仕組みが必要なのは確かです。しかし印章業界にその仕組みが作れるのか。IT担当相としての手腕が試されます。

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