毎年この時期になれば「数十年に一度」「50年に一度の・・・」といった恐ろしいキャッチコピーのついた豪雨がやってきます。何十年に一度も毎年続けばもはや、その効果も薄れてきてしまいそうではありますが、案の定逃げ遅れてしまい尊い命が失われてしまいます。そんな中、なぜこのような問題が発生するのでしょうか。
そもそもいつ逃げればよいのか
さてこのような豪雨・災害に伴い、我々はいつ逃げればよいのか。実は政府のほうで、どのような状況になれば逃げたら良いのか、明確に打ち出されております。
具体的には大雨の場合警戒レベルが5段階。そのうちのレベル4の状況で全員避難をしたほうが良いとされております。
警戒レベル1 最新情報に注意
警戒レベル2 避難方法を確認
警戒レベル3 高齢者など避難
警戒レベル4 避難指示・避難勧告 ←★この時点で逃げる
警戒レベル5 災害発生
以前は、避難指示・避難勧告とされておりました「警戒レベル4」。つまり警戒レベル4が出た段階で、逃げなければなりません。ところがこの状況で逃げる人は殆どおらず、避難スルー。
そもそもこのような仕組みがあるのは周知されていないように感じます。
警戒レベル4で逃げなければならない
現時点では、警戒レベル4が出ても一斉に避難するという意識は薄く、また災害が発生している警戒レベル5となっても避難スルーするというケースも。
では何故逃げないのか、そこには法的な問題と、心理的な問題、2つののファクトがあると推測されます。
理由その1:海外には「避難命令」がある。日本には「避難命令」がない
ちなみに海外には「避難勧告」や「避難指示」よりも強制力の強い「避難命令」があります。しかしながら日本には避難命令はありません。詳しい理由は不明だが、昨今のコロナ禍において「ロックダウン」が、法律上の問題で行うことが出来ないというケースに似ているものと思われます。
また以下のような可能性も推測されております。
実際に避難行動を取るときには、様々なことを総合的に判断しなければなりませんから、その地域全体に「避難命令」を出すことは、難しいのでしょう。
引用:YAHOOニュース・碓井真史 | 新潟青陵大学大学院教授(社会心理学)/スクールカウンセラー
「避難命令」を出し、逃げない方に罰則を設けることができればいくらかは防げるが、現時点においてはそれが出される様子はありません。
理由その2:正常性バイス
2つ目の理由は、正常性バイアスです。
正常性バイアスとは、「自分は大丈夫」と、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう心理で、このような災害時、人はこの行動心理が働くとされております。
たとえば
・今まで警報が出ても大丈夫だったから大丈夫
・防波堤・防潮堤があるから大丈夫
・みんな逃げないから大丈夫
などのケースです。しかし魔の手は刻々と忍び寄り、気づいた頃にはもう手遅れというのがよくあるパターンです。
そこで、被災者のインタビューでよく言われるのが決まって「今までこんなことなかった」という発言がまさにこの正常性バイアスの特徴です。
Source:tenki.jp
以上のことを踏まえると、避難スルーは、人間の心理であったり国のルールの問題であったり様々な問題によって発生するわけですが、いずれにせよこのような問題はいつどこで襲ってくるのか、誰もわからないことを踏まえると、やはり常に非常食や避難訓練をしておくことがベストなのかもしれません