最近歩きスマホが危険だという認識は徐々に広がりつつあります。とはいえスマホを持っていればどうしても歩いている間チラチラチェックしたいものだ。それ以前にどれほど危険なのかはよくわかっていないし、気を付けていればいいじゃないかという認識も強い。ということで今回、ドコモが実際に「歩きスマホ」でどれ程の影響が出るのかを「物理演算」を行いシミュレーションしたのだという。物理演算のシステムをこのような実験に使うとはなんとも「才能の無駄遣い感」がハンパないわけですが、さっそくご覧いただきたい。
―設定は渋谷交差点
設定は渋谷交差点のようです。もちろん建物や道路などの設備はすべて3Dモデリングされており実際の環境に近い状態が再現されているようだ。この状態で複数の人間オブジェクトを投入し全員歩きスマホさせるという試み。それだけに意味があるのかないのか、そもそも、そこに投資するべきなのか本当に「よくこの企画が通った」なと他人ごとながら感心させられる。
さて
歩く人間の身長は、平成23年度厚生労働省の調査により男女の平均値身長160.3センチ、体重58.8㎏とするなどの設定が用意されているようだが、すべての人間が同じような動きをするというわけではない。人間の設定は以下の通り
・身長:160.3cm
・体重:58.8㎏
・速度は「急ぎ」「普通」「ゆっくり」の3タイプ
・目的地は「ハチ公方面」「井の頭線方面」「道玄坂方面」「センター街方面」「原宿方面」
・人に衝突する恐れがある場合「左右に避ける」「立ち止まる」「そのままに進む」
・衝突回避できなかったら「あやまる」「スマホを落とす」「倒れる」
となっております。
―視野が狭い
歩きスマホの場合、通常歩行時に比べ20分の1という驚異的な視野の狭さが問題となりますが、これももちろん計算に含めます。ということでこれら条件をすべて盛り込んだ状態で実査に計算した結果がこちら。
―「歩きスマホ人間」投入。
歩きスマホ人間は1500名。様々なタイプの人間が、ランダムの意思を持って行動する、計算させる側も彼らも何が起こるのか全く分からない未知の領域。非常に興味深い実験だ。これだけの3Dモデリングを同時に処理するとなると、おそらくものすごいCPUの負荷がかかっており莫大なコストがかかる予感。
青信号となっている46秒の間、彼らはどのような行動をとるのであろうか。
―とにかくシュール
黄色の「歩きスマホ」の方。お互い相手を回避するために立ち止ったようです。緑の人は赤の人に衝突し謝っているようですが、赤はそのまま立ち去るという何とも傍若無人な性格。おそらく実際にこのような行動をとられたら、緑が確実に赤に対し「ムッ」とくるのでしょうが、素直に謝っている姿は実にシュール。
とはいえ、視野が狭くぶつかってしまうという結果が出ているためこれは単なるシミュレーションではなく現実に起こり得ることのようです。そもそもそこまで気分を害すのであれば相手にぶつかる前に回避したいですね。
ということで本来なら「歩きスマホ」をしなければよいのですが、現実問題なかなかそういう訳にもいきません。
それにしても、緑は謝ったり転倒したり、ステータスが弱すぎやしないだろうか・・・。やはり赤に比べ緑は穏やかなのかな。そんな気さえしてきますが、赤や青もしっかり謝るやつもおりますのでご安心を。(動画をよく見ていただくと面白いかも)
―結果
結果
衝突件数:446件
転倒件数:103件
スマホ落下件数:21件
横断成功者 547/1500名
ということになり、3分の1近い人間しかうまく横断できなかったようです。実際にはすべての人がスマホを持つことはあり得ないのですが、とはいえ今後もスマホを持って近づいてくる人間はさらに増加するはずです。この結果から非常に危険だという認識が強まりましたが、はたしてこういう場合どうしたらよいのかと考えさせられるシミュレーションであります。
―このような事故を防ぐには?
このような事故を防ぐには、歩きスマホを辞めればよいのですがそれ以外にも例えば「横断中」「階段」など危険の多い場所での利用を避け、立ち止まって利用する等の方法を取り入れる必要があるのかもしれません。
とは言えすべての人が歩きスマホを辞めていただくのはなかなか難しいので、徐々にこの危険を拡散させていくしかなさそうです。
―動画
(ライター:たまちゃん)