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給食で人気NO1の『ソフト麺』が市販されていたので食べてみた--

学校給食で常に上位に食い込む人気メニュー『ソフト麺』あの懐かしい味をもう一度食べてみたい、そんな方は多いはず、どうやらそんな望みをかなえてくれる商品ズバリ『ソフト麺』が市販されていたので早速食べてみた。だがそこで気付かされたのは、ソフト麺の旨さではなく、当時のハングリー精神とそれを失った今の虚無感、その無常なる現実であった。


今回、にちめんという企業が出している「ソフトめん」懐かしい味と記載されているからには、当時のソフト麺の再現性は極めて高いのではないかと期待される。味はカレーとミートソース。最もおなじみなのはミートソースだろう。実はこのソフト麺自体は、正式名称「ソフトスパゲッティ式めん」と言い、ソフト麺は略称なのだ。


中身は、麺とソースのシンプルな構成。この余計な具材が一切入っていないというシンプルさが非常に好評だったのは間違いない。ただこの麺に違和感を感じざるを得ない。当時のソフト麺の太さは5mmぐらいだったのに対し、この麺は2mmほど。かなり細い。この細さは致命的だ。再現性としては低いと感じざるを得ないが、細い麺を扱っていた地域もあるのかもしれないので、一概に間違いだと言うのは早すぎる気もする。


このソフト麺の調理方法もしかり、至ってシンプル。電子レンジで温めるだけ。給食係は麺を配るか、ミートソースを余らせずに配るかどちらかだが、この余らせずに、かつ足りなくならないように調整して配ると言う配給方法は当時としては、なかなか高度なテクニックが必要だった。

さて、前置きはこれぐらいにして早速食べてみると麺の独特の柔らかさと、それに絡みつくミートソースの絶妙なコラボレーションは確かにソフト麺だと認めざるを得ないのかもしれない、だがやはりこのソフト麺の細さはいただけない。

いや、自分が大人になったから細く感じるのかそれとも、細い商品なのか、定かではないが、ソフト麺という超シンプルな料理なだけに、良くも悪くもそれ以上でもそれ以下でもない。平たく言えば美味しいのではなく、「懐かしい」。ただそれだけだ。もちろん今食べてもまずいわけではないが、驚愕するほどの旨さでもないし、言ってしまえば、カップラーメンのほうが旨い。

ではなぜ当時、そこまでうまいと感じたのか。恐らくそれは当時、子供だった我々は欲しい物をコンビニですぐに購入すると言う事ができず飢えていた。その中で給食という学校生活の上で一つの楽しみだったわけで、その期待感と空腹感のハングリー精神の中で登場したソフト麺が至高の給食となりえたのかもしれない。

ところだどうだい、今は好きなものを好きな時間に好きなだけ食べることができる。ソフト麺よりも数倍旨い物を手ごろに手に入れることができる。便利になった半面、当時のようなハングリー精神は失われたのだ。この独特の虚無感を、モグモグと噛みしめながら当時を思い出させるこの商品を皆様もぜひ味わってほしいものだ。