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なぜ太陽光発電はキャズムを超えられないのか?実際にやってみた

太陽光発電と聞けば、電気代も自給自足が可能で余った分は電力会社に売ることができるという大変お得なシステムのように思えますが、イマイチ一般消費者の財布のひもは固い。ということでなぜそこまで浸透していかないのか実際に見積もりを取って確かめました。実際にやってみたと言っても、結果が出るのは2~3か月先ですのでそれについては前もって言っておきたい。

―太陽光発電とは

前置きとして、知っておきたいのが、太陽光発電とは、家庭にソーラーパネルを取り付け電力を起こし、電気代を家庭で稼ぐだけでなく、余った電力を電力会社に売ることができるシステムをひっくるめ、そのように呼ぶ。反原発の意識が高まる中、新たな電力供給源として国が注目しているシステム。海外では割とポピュラーな方法だが、日本ではまだあまり普及していないため、導入に抵抗がある家庭が多いのだと思うが、問題はそこだけであろうか?

今回、電気会社の営業に来てもらいみつもりをとってもらうことにした。
営業マンは、見た目は70ぐらいのおじいさんだが、頭が薄いだけで俺は若いと、自虐していた。

さて自虐営業マンはよしとして、太陽光発電を行うためには、以下にある機械をそろえなければならない。

・太陽光パネル
・パワーコンディショナ
・接続箱
・エネステーション(オプション)
・固定板
・昇圧回
・工事費

これらもろもろを組み合わせ、ざっくりと計算すると200万~300万程の見積もりになる。
つまり、将来的に200~300万の電力を稼がなければ、赤字になるという事だ。

まずはパネル選び。このパネルが重要で、高いものは壊れにくく、寿命も長く発電力が多い。
安いのはその逆。値段の開きとして、6万~16万とかなりの開きがあるため、非常に悩ましいポイント。
自虐営業の人によると、高いものは50年ももつのでその間に十分もとはとれるとのこと。

右が高いほうで、左が安いほう。高いほうはなんと『曇り』でも発電ができるため、発電時間が長い。
つまり電力をより確保できるということだ。ここまで進められると、高いほうがコスパが高いのではないのかと洗脳させられる。(実際そうなのかもしれない)

パネルの他に、パワーコンディショナ、接続箱等が必要となってくるが、これはどのメーカーでも同じく必要になってくる。ただ、安いメーカーのものは外におかなくてはならないので、壊れやすいとのことで、またもや高いメーカーを勧められた。(それ以前にこれが何の機械であるのかはイマイチ理解しておらず)

あとは、部屋の中で発電力をモニタリングできる『エネステーション』をオプションで付けることができる。
これがあると、発電力だけでなく部屋のどの機械が多く電力を使っているのか一目瞭然だという。
(エネステーションが一番電力使っているなんてことだったら身も蓋もないが…)

さて、最後に一番重要なのが『太陽光が家に取り付け可能かどうか』だ。
屋根の形状によって、何枚パネルを付けることができるか決まる。当然多く取り付ければ発電力も高い。
パネルが少ないと、最悪赤字になる。ボーダーラインとして、メーカにもよるが10枚以上で黒字だという。
つまり屋根の形状によっては太陽光はやらないほうがよいという結果も十分ある。

そこで自虐営業マンに図面を渡し、しばし難しい顔をしながら計算をすること3分。
神妙な面持ちでこのように口を開いた。

自虐営業マン : 『 お客さま大変ラッキーです「 高 い ほ う な ら取り付け可能です!」』

電気屋さんって演技指導もしているのですか?と問いたくなるような絶妙な間と口調で我々を契約へと導く。
うまいというか、さすがというか、すべてが台本通なんですねわかります。だが別に嫌な気持ちではなかった。

という事で結果的に高いほうを注文し以下のような計算になる。

・太陽光パネル       116,950×14枚  =1,637,300円
・パワーコンディショナ    309,750円
・接続箱                                34,650円
・エネステーション(オプション)75,600円
・昇圧回              12,6000
・工事費              70,000

これ以外にも諸費用かかるが、何十マンというレベルではない。
最終的にざっと、2,600,000円程かかる。
だが、ここからお得な話で国からの補助金および、県からの補助金そして、電気屋さんのサービス値引きなどがついて、なんと、2,300,000円ほどになり、これをローン15年分180回で組むとなると、1カ月当たり15,000円の費用になる。

15,000円 + 電気代

これが毎月支払う料金だ。
高けぇ・・・と思った方、忘れてはいないだろうか、電力を売ることを。太陽光の売りは電力を売ることができるということで、今回のシステムを導入すると、売ることができる電力は

15,000円

つまり、残りは『電気代』で済むという事だ。
いやちょっと待て、それだったら別に太陽光にする必要は無いのではないか?と思うかもしれない。
残念ながらその通りである。現在の一般家庭の発電力では太陽光システムを導入する費用を相殺する
というぐらいにしかならない。逆に言えばパネルを沢山取り付ければ発電力も上がるが、その分、導入費用およびランニングコストが高くなり、同じだ。

ただし、電気の売り上げは一定ではない。日照時間が長ければ当然発電力も上がり、売り上げも上がる。
つまり天気のご機嫌しだいでは、利益になるかもね。というレベルである。
決して、太陽光導入してウハウハだ!ということにはならないということだ。

これを踏まえ、先行投資として太陽光発電を入れることは、コスパが高いかどうかは現時点ではあまり変わらないという結果。この変がキャズムを超えられない原因ではないかと推測される。

詳細な結果は導入し数カ月たてば明確な数値が出るはずだ。ということで、今回は本契約をし、導入することになった。

なにはともあれ、一番発電力が高いのは、この自虐営業マンの頭なのかもしれない。