完全に梅干しなグラスパズル「うめーくつめて」の誕生秘話とその後のエピソード!

1989年11月に東洋ガラスから発売されたグラスパズルです。商品名は「うめーくつめて」でした。9個の梅干をガラスのケースの中にぴったりと詰めるというパズルです。ガラスのケースは、このパズルのためにつくられたものではなく別の商品の在庫品でした。廃棄処分も考えなければならないというときに、東洋ガラスの当時の社長のひらめきによって、このガラスの容器はパズルのケースとして息を吹き込まれました。

ガラスのケースを正面から見ると

ガラスのケースを正面から見ると、下の方に2つの出っ張りがあります。実はこのガラスケースは、くまさんの頭でした。出っ張っている部分はくまさんの耳の部分です。「動物くんグラス」というファンシー容器のふたの部分でした。5万個という在庫を抱えていました。

どんなものにも命がある

廃棄処分を申請されたときに、社長は、「どんなものにも命があるのだから少し待ちなさい。」と言って廃棄処分はしませんでした。同時に、頭の中ではガラスケースの利用方法を考えていたそうです。

ある日、社長は冷蔵庫の中にあったあるものを見て、「これだっ!」と思ったそうです。あるものというのは、梅干でした。その梅干は木箱に詰められていました。ぎっしりと詰められている梅干を見て、これをパズルにしようと思ったのだそうです。

故芦ケ原伸之さん監修のもと、グラスパズル「うめーくつめて」が誕生し、大変な人気商品となりました。もちろん5万個の在庫品はすべて使われることとなり、さらに追加製造されることとなりました。

社長の退職とともに...

東洋ガラスでは多くのグラスパズルを製造・販売しましたが、社長の退職とともに製造を中止してしまいました。「パズルを作るにはアイデアが必要である。残された社員にその負担を残すわけにはいかない。」というのが当時の社長の考えでした。

ビバリーという会社から復刻版が発売されたことがありますが、今では販売されていないようです。しかし、昔購入した人は、今でも大切に持っていることがあるようです。そのような人に出会ったときには、是非挑戦させてもらってください。

8個の梅干をグラスに詰めてみましょう。

9個の梅干をグラスに入れてみましょう。先ず、写真に写っている4個の梅干を底に入れます。グラスも梅干もつるつるしていて固定されないので、結構大変です。

4個の梅干が入った後は、次の1個を入れます。この1個を入れると、残りの4個が入れやすくなります。

梅干を1個れたので、残っている梅干は4個です。写真に写っている4個の梅干を詰めると、パズル完成です。

パズル完成です。

パズルが完成しました。写真で見ると簡単そうですが、それほど簡単ではありません。写真で見ているだけでも、挑戦してみたくなるようなパズルではないでしょうか。

驚くようなことがありました。

ある時、元社長を案内して、北海道の美瑛町にある蕎麦屋に行きました。窓際に目をやると、なんと、そこにこのパズルが無造作に置かれていました。それも、復刻版ではなく東洋ガラスで販売されていたものでした。

パズルとそのパズルを考えた人が、偶然にも同じ空間にいるのです。一瞬鳥肌が立ちました。席に着くなり、元社長は、「できるかな?」と言いながら、ばらばらになっている梅干を見事詰めてしまいました。当時80歳を超えていたと思いますが、頭の柔らかさと記憶力の良さに脱帽でした。

昔、大人気だったパズルのアイデアは、どこの家にもある冷蔵庫の中にありました。あなたの身の回りにもたくさんのアイデアが眠っているのかもしれませんね。

東洋ガラスのグラスパズルにはたくさんの種類がありました。プリンやオンザロック、ビール、せんべい をグラスに詰めるというパズルもありました。